犬ケ島・レビュー・感想(3回目のデートで観る映画としておススメ?)

目安時間:約 7分

今回は映画「犬ケ島」のレビュー・感想です。「3回目のデートで観る映画としておススメできますよ」みたいな感じで記事を書くつもりで見に行ってきたのですが、予想外の展開になりました。

 

どんな映画?


ウエス・アンダーソン監督の映画で、日本が舞台になっています。人形を少しずつ動かして撮影していく手法のストップモーション・アニメーション映画で、話題性があります。かわいい犬が沢山出てきて、お子さんや動物、特に犬好きの人などが「見たい」と思いそうです。

 

大まかなあらすじを記します。

犬インフルエンザが人間に感染するのを防ぐため、メガサキという架空の市の小林市長の決断で、すべての犬がゴミの島に捨てられます。市長の養子、12歳の男の子「アタリ」が、自分のガード犬「スポッツ」を探しにゴミの島へ渡り、そこで出会った犬たちとともに、探し回る、というお話です。

 

感想は?


小さいお子さんに見せる映画ではありません。小・中学生でも、私だったら見せたくないと思いました。重い内容で、バックミュージックも合わせて、全体的に暗いです。3回目のデートで観る映画としてはおススメしません。「彼女が見たいのであれば、見てもいいですよ」という程度です。

 

英語版なのに

映画の中の日本人は皆、日本語をしゃべって、英語の字幕なしです。私はオーストラリアに住んでいるので、オーストラリアでこの映画を見たわけですが、これって、日本語がわからない人が見て、何言ってるかわからなくて、イライラしませんかね。そういう効果を狙っているのでしょうか。私は日本人なのでわかりましたが。

 

それで、市長などの演説の時は、途中から同時通訳が実況中継で英語でしゃべるような設定になっていて、演説している人が言っていることはわかるという仕掛けです。

 

誰が英語をしゃべるのか

誰が英語をしゃべるのかというと、犬たちは全員英語でしゃべるのです。男の子「アタリ」が日本語でしゃべって、犬たちは英語で返すという・・・。これ、日本以外の国の人が見たら、完全に犬の立場に身を置いて感じるようになりませんか。

 

しかも、犬たちは皆、人間味(?)溢れて描かれています。日本の犬なのに、皆、西洋人っぽい・・・。そして、日本人は全員、表情に乏しいのですよね。主人公たるべき「アタリ」まで、魅力的に描かれていないというのが私の感想です。

 

アタリが犬に「お座り」をさせる場面があるのですが、そこは英語で言うのです。しかもすっごい日本人的発音で。「sit」ではなく「シット(shitto)」と何回も。その状況で視聴者は、「shitto」というのが「sit」の意味だけど、発音が全然なってないことに気付くわけです。

 

その後、物を投げて、犬に取ってこさす場面も同じようにあって、「fetch」ではなく「フェッチ(fecchi)」としつこく言っているのです。なぜここで、「お座り」などの日本語ではなく、英語で言わさなければならないのでしょうか。

 

英語をしゃべる人、他にもいます。日本の学校で唯一の外国人、ホームスティ中の、金髪のアメリカ人の女の子です。市長に反対して「人間の友」である犬たちを助けるためのグループにいるわけですが、「日本語をしゃべるので何を言っているかわからないおとなしい日本人学生」たちの中で、一番活躍する生き生きした女の子です。(この子が影の主人公?)

 

そして、もう一人、このアメリカ人と英語で話すことができる科学者の日本人女性が登場します。お下げの髪に、OとYのイニシャルがついています。オノヨーコさんだから英語をしゃべれるということでしょうか。

 

生殺し

映画の冒頭に、日本の歴史が流れ、外国人が好きなテーマ、「サムライの首切り」も当然のように出てきます。その後、人間の友である犬たちをゴミの島に生きたまま捨てますよね、日本人が。それから新鮮な寿司を作るシーンです。

 

生きたままの魚やタコなど、包丁でブッタ切ってもまだ、魚の口とか動いています。こういう、日本の文化の一部分を切り取って、意識的に大きく貼り付けるというのは、何か意図的なものがあるのではないかと思ってしまいました。

 

クジラ

この映画にクジラは一切出てきませんが、「絶滅に瀕したクジラを日本人が殺して食べている」というイメージまで連想してしまいました。

 

私の2人の娘たちはオーストラリア生まれで「オーストラリア人」なわけですが、日本が「クジラ捕獲」でバッシングを受けている時などは、「学校で何を言われても言い返さないように」と言い含めておりました。人知れず、苦労させていると思っています。

 

そんなことで、「カルメンの考えすぎ」的な、個人的感想でした。お許しください。日本にいる日本人は連想しないかもしれません。でも、よその国の人は連想するかもしれない、とは思いました。

 

更に

もう一つ、ストーリーとして腑に落ちない点があります。ネタバレになってしまうので、はっきりとは言えませんが、「アタリ」が自分の犬を探し回って、やっと見つけた後、犬に言われることです。腑に落ちません。(詳しくは、映画をご覧ください)

 

犬ケ島・レビュー・感想のまとめ


3回目のデートとして観る映画としてはおススメはしませんが、日本の方には自分自身の目で見て感じてもらいたいとは思います。ただ、日本のことをよく知らない、世界中の人たちに娯楽として観られて、「これが日本人のプロトタイプ」みたいなイメージを植え付けられるのは怖いと思いました。

 

非常に巧みに作り込んである映画という印象を受けました。

この映画はいったい、何を言いたいのか

なぜ舞台を日本にする必要があったのか

日本人はこれを見て喜んでいていいのか

 

黒澤明監督の影響を受けていると言われているようですが、根底から「違う」と思いました。

日本では5月25日公開予定だそうです。

 

 

(突然ですが)日本の少子化、心配です。

 

 

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